誰も自身の存在する理由なんて知らない。

  物心ついた頃には世界は色付いていて、誰かに導かれ生きていたのも束の間、

             気付けば「自分」という根拠も確信も無い存在の意思に委ねられ、歩むことを余儀なくされる。

  それにも必ず終わりは来る。それが「死ぬ」ということ。

    いつ訪れるか分からないそれに怯えながら、人は居場所を求め、人を求め、

                       やがて愛を、富を、栄誉をと、より大きなものを求め、終わらない旅をする。

                                     その先に、自分が生まれてきた意味や理由があるのだと信じて。


    1922年、フランスのシャロン=シュル=マルヌ【現在のシャロン=アン=シャンパーニュ】で、

                                  2日間、空からヒキガエルが降り続くという怪現象が観測された。

    在る者は「竜巻によって空へ打ち上げられたカエルが降ってきたのだ」と主張し、

                 また在る者は「鳥の食べ残しだ」と騒ぎ立て、

                        また在る者は「いつの間にやら大量発生したのだ」と、降ってきたことをも否定した。

    しかし、いずれの仮説も科学的論拠に乏しく、この怪現象そのものを定義付けるものとはならなかった。







    
    
Falls from the skies : 常識では理解し難い物、生物などが、空から降ってくる怪現象の総称。

    
                          唯一つ分かった事といえば、そうした事が実際に起こったという「事実」のみである。






    


                                   falls from the skies    

                           sako (Vocal&Guitar)

                             takami (Bass)

                             yuuki (Drums&Chorus)



        少なくとも僕らは自覚している。

           僕らは、そうして降ってきたカエルと、なんら変わりは無いということを。

                   僕らは生まれてきた理由を、筋道立てて説明することは到底出来そうに無い。

                      でも、恐らくそんな自分とそう違わないであろう他の誰かが、

                                  「ただそこに居る」という事実を受け入れることが出来る。

               そんな自分を取り巻く世界が、そこに広がっているということを、確かに知っている。

       きっと僕らは「選ばれて生まれてきた」とかそんな尊い存在なんかじゃなくて、
 
                          いくらでも代わりの効く、この広い世界の1ピースに過ぎないんだろう。

       でも、そんな僕らの前に広がる世界に、僕らは何度も足跡をつけては繰り返し、
     
                       そんな僕を目の前にした他の誰かは、確かにその眼に僕を映しているのだろう。

                    少なくとも、僕たちは知っているよ。この眼に映った人達が、そこに居たって事くらいはね。



       僕らは等しく誰も必要では無いのかも知れない。

                      でも、そんな僕たちが居たから生まれる世界もきっとある。

               なぁ、今一度僕らと一緒にこの世界を歩いてみないか?

                  くだらない。しょうもない。楽しい。悲しい。むなしい。幸せ。
        
                              いくらでも形容できる、別に特別でもなんでもないこのありふれた世界を。


        
                             
協鳴するI/0。無限に在る風景の、たった1つに過ぎないキミへ。


      
雨の日。車道を走る自動車に、水を掛けられる。

           その眼が、泥水で濡れた前髪の向こうに、飛沫で描かれた一瞬の虹を映す。

        

              もしかしたら、この世界は、思っていたよりも小さく、冷たく、それでいて美しいのかも知れない。

  

           
               


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